笊に盛られた初夏の山菜。月山筍、こごみ、うるいなど
桶の水に放たれた川魚

この季節に食べたいものが、ちゃんとある

そういう声が聞きたくて、日々の勤めに向かっています。さて献立には「出す料理の組み合わせ・順序」という意味があり、私達の持て成しの出発点、季節料理の真髄がこの献立という言葉に集約されています。

日本料理は素材が全て。いかに調理によって素材本来の美味しさを引き出せるかどうか。そこが腕の見せ所となります。この頁では素材の調達から献立の思案、調理に至るまでの一連の工程と季節の関係性。その一端をお届けしたいと思います。

バットに整然と並べられた山菜の下ごしらえ
水槽をゆく川魚の天然もの
茄子に包丁を入れる手元
桶に張った出汁へ、そっと手を添える

仕入の基本は産地直送。海のものから山のものまで。全国各地の市場や専門業者、契約農家の方々とお付き合いさせて頂いています。今この季節にいちばん美味しいものを。その時期を捉えることを起点に、食材に携わるプロとの関係性も大事にしています。

「いいのが採れたからぜひ使ってほしい。」と言われれば嬉しい限り。山菜や川魚の天然ものを。また伝統野菜や果実等は生産地に赴き、栽培へのこだわりを訊くことも欠かせません。

こうした作り手との深い関わりは、知見を高めてくれるばかりでなく、お客様へ想いを伝えるという大切な役割を私たちに与えてくれるのです。

心地よさは心付きから

少々ご不便かもしれませんが、当店が電話のみの受付けにこだわるには理由があります。それは文字だけのやり取りではこぼれ落ちてしまう細やかな部分にも耳を傾けたいからです。

宜しければ日時やご予算だけでなく、もう少しお話を聞かせてください。その席がどんな催しなのか、お好みや苦手なもの、健康上の心配事等どんな些細なことでも構いませんので遠慮なく申し付けください。

仕上げの盛り付けに向かう板前 焼き場で火の加減をみる 鍋で茄子を色よく揚げる 夜の板場、黙々と手を動かす

日本料理の粋を折り込む

献立に季節感を落とし込む上での拠り所。それが日本料理の幅と工夫です。京・大阪を発祥とし、茶会において芸の一種とされ、「日本料理は目で愉しむ」という言葉もある通り、時季や行事に合う器、盛り付け方など、食べ味以外の様々な文化的要素に様々な趣向を凝らします。

そして「出合いもの」。耳馴染みのある「旬」にくわえ、季節の先取りを意味する「走り」。盛りを過ぎた余情に想いを馳せる「名残り」。これらを組み合わせることで、それぞれの料理に深みと物語性が与えられ、より献立の趣が引き立てられるのです。

串に打たれ、じっくりと炙られる川魚
硝子の器に涼を盛り込んだ先付け
青楓をあしらい、川魚を皿へ移す

持て成しの基本。
それを紐解く頁もご用意いたしました。